2025年9月25日(木)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン6 G-8/9)
2025年9月12日(金)公開 / 上映時間:115分 / 製作:2025年(日本) / 配給:松竹
【監督】 関和亮
【キャスト】
19世紀ヨーロッパ
 シンドラー:山田裕貴 / ベートーヴェン:古田新太 / セイヤー:染谷将太 / ホルツ:神尾楓珠 /
 カール:前田旺志郎 / ヨハン:小澤征悦 / プロイニング:生瀬勝久 / シュパインツィヒ:小手伸也 /
 ウムラウフ:野間口徹 / リース:井ノ原快彦 / ハリエット・リース:市川沙耶 /
 ヴェーゲラー:遠藤憲一 / エレオノーレ・ヴェーゲラー:西田尚美
現代日本
 音楽教師・黒田:山田裕貴 / 野村:柊木陽太 / 校長先生:古田新太 /
 担任教師・山本:染谷将太 / 教頭先生:生瀬勝久 / 岡田先生:小手伸也
【あらすじ】
ベートーヴェンは、耳に難病を抱えながらも数々の楽曲を残してこの世を去った。死後、秘書・シンドラーは、下品で小汚い印象だった彼を“聖なる天才音楽家”へと仕立て上げる。しかし、その行いは波紋を呼び、ベートーヴェンを知る人々の間で情報戦が勃発する・・・
【感想】
長女が、この映画はお父さんが好きそうと前々から言っていたので、その長女を誘って今夜観てきました。この映画は、かげはら史帆のノンフィクション『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』が原作で脚本はバカリズムです。

この映画を観るまで、ベートヴェンの伝記「ベートーヴェンの生涯」に嘘があるという話は知りませんでした。映画を観た後にネットで調べると、1977年の国際ベートーヴェン学会でシンドラーによる「会話帳」の改ざんが明らかになり、彼の著書「ベートーヴェンの生涯」もかなり誇張や嘘があることが周知の事実となっているようです。そういうことを知っただけでもこの映画の価値というものがあると思いました。

この映画は、観る前はベートヴェンの実の姿を偉大な姿に捏造するというコメディータッチの面白いストーリーだと思いましたが、実際にベートヴェンの姿が捏造されていたという真面目な話でした。もちろん、バカリズムの脚本なので、笑いを感じさせる会話や映像ではありましたが、観終わったあとの感想は、「真実なんて書き手の意思でかわるのだから、安易に情報を信じることは危うい」ということでした。昨今のネットによる情報はまさにそうで、どんな情報であってもその情報が真実なのかどうかという疑問はいつも持ち続ける大切さを感じました。

シンドラーの捏造の話は、現代の日本で音楽教師の黒田が生徒の野村に話す形で進むのですが、最後に野村が黒田に、「その話も先生の想像ですよね。シンドラーやセイヤーの考えや思いも先生の想像ですよね。先生もシンドラーと同じじゃないですか?」と言うのは、今まで観てきたシンドラーの物語も実は主観がはいっていたり作られたものだという注意を喚起します。面白く感心するオチでした。

内容は面白かったですが、映画としては語り部調で紙芝居的に進むので退屈に感じる映画でもありました。セイヤーの視点に変って、時間を少し巻き戻して進むところあたりからは、意外な真実がわかるのかと私的には盛り上がりましたが、映画の評価としてはわかれるかもしれません。シンドラー役の山田裕貴は、目が鋭くて内部に少し狂気的なものを感じるのでシンドラー役には合わないのではと思いましたが、最後まで観ると、その狂気さが良かったのかもとも思えます。欲を言うならば、その狂気さを笑いに変える落差なんかがもう少しあれば面白くなったのにと個人的には思いました。

「伝聞の物事は簡単に真実だと思ってはいけない」「歴史上の人物の人物像もそれが真実だと思ってはいけない」、そんなことが後で心に強く残る映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。