| 2025年11月11日(火)鑑賞 イオンシネマ名古屋茶屋(スクリーン3 D-9) |
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2025年9月19日(金)公開[PG12] / 上映時間:191分 / 製作:2025年(日本)
/ 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント=東映
【監督】 大友啓史
【キャスト】
グスク:妻夫木聡 / ヤマコ:広瀬すず / レイ:窪田正孝 / 小松:中村蒼 /
チバナ:瀧内公美 /
タイラ:尚玄 / ダニー岸:木幡竜 / 謝花ジョー:奥野瑛太 / 辺土名:村田秀亮
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アーヴィン・マーシャル:デリック・ドーバー / 喜舎場:ピエール瀧 / ウタ:栄莉弥
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徳尚:塚本晋也 / オン:永山瑛太 |
【あらすじ】
1952年、米軍統治下の沖縄。米軍基地を襲撃して物資を奪い、困窮する住民らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちがいた。そんな戦果アギヤーとして、いつか「でっかい戦果」をあげることを夢見るグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)の幼なじみの若者3人と、彼らにとって英雄的存在であるリーダー格のオン(永山瑛太)。しかしある夜の襲撃で米軍に見つかるという失敗を犯し、その時に“予定外の戦果”を手に入れたオンはそのまま消息を絶ってしまう。残された3人はオンの影を追いながら生き、やがてグスクは刑事に、ヤマコは教師に、そしてレイはヤクザになり、それぞれの道を歩んでいくが、アメリカに支配され、本土からも見捨てられた環境で、思い通りにならない現実にやり場のない怒りを募らせていく。そして、オンが基地から持ち出した“何か”を追い、米軍も動き出す・・・ |
【感想】
この映画は酷評も多く、上映時間も3時間超え、そのせいか興行成績も良くない、またSNSで監督が不適切な対応をしたとかいう話題もあって、あまり良い印象の無い映画でした。不評のひとつに、登場人物が話すうちなーぐち(沖縄方言)が理解できないという声もありました。今回その改善として、「沖縄ことば対応字幕付き」が上映がされると聞いて、一応自分の目でも観ておこうかという気持ちになって観てきました。私の住んでいる地域では、11/10(月)から11/13(木)までの4日間だけの上映ということだったので、ちょっと離れた映画館ですがでかけてきました。
観た感想は、酷評されるような映画ではまったくなかったということでした。耐えられるかどうか不安だった3時間以上の上映時間も、まったく退屈することなく、次から次へと起きる出来事や、グスクたちの沖縄と米軍に対する思いが丁寧に描かれていて、そのストーリーに入り込んでしまいました。まったく長いとは感じませんでした。
戦時中は住民の4人にひとりが戦争で死に(この数字は約12万人で、日本兵の戦死者を上回る)、戦後は物資不足で困窮する住民たち、米軍兵による女性への暴行や殺人は日常茶飯事、1959年には小学校のミルク給食時に戦闘機が墜落して児童12名が死亡、それでも米軍は事件の処理を曖昧にし、そんな不満が募り積もって起きた1970年のコザ暴動につながります。そういう事件を、文字だけではなく映像であらためて知らしめてくれました。経済的に共存という米軍でもあって、沖縄の人たちの複雑な心情、葛藤や苦しみは想像を絶すると思われます。そういう両面の考え方もバランスよく織り込まれていました。
作品内で交わされる、グスクと米軍アーヴィン(デリック・ドーバー)・小松(中村蒼)との会話、グスクとレイとの会話における、平和とは何か、平和を守るということはどういうことかということは、現在でも同じことが言われており何が正解かは議論がわかれるところです。特に、コザ暴動により米軍基地に侵入してそこで交わされるグスクとレイの気持ちのぶつけ合いは、心に響くものがありました。人間は武器ではなく争いなどしない賢明さを信じるグスク、人間は愚かで武器で向かい合うことが必要だと言うレイ。今の戦争を防ぐための議論に通じて考えさせられます。理想はわかりますが、どちらが正解かはあまりにも難しくて胸が苦しくなりました。
謎として描かれているオンの消息不明になった出来事は、本筋とどういう関係があるのか、ただ単にグスクたちの生きるほとつの目的になっているだけか、そこがずっとわかりませんでしたが、その真相も、沖縄の女性と米軍の男とのハーフの子供の問題に関係していたという、悲しくて切なくて優しい思いの交錯した思いがけない展開でした。オン、グスク、ヤマコ、レイは、ウタ(栄莉弥)を通じて結ばれていたのだと、ちょっと泣けてきました。
そんな沖縄の人を演じる妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝の演技は真に迫っていますし、わかりにくいと言われている沖縄ことばも(所詮つくりものである映画の)嘘っぽさを軽減するのに大きく役立っていたと思います。暴動シーンなども圧巻で引き込まれる映像も見どころでした。
沖縄の人たちの苦しみや我慢の歴史に触れることができ、平和を守るということはどういうことなのか、あらためて考えさせられる良い映画だったと私は思いました。個人的には、SNSで言われているような駄作なんかでは決してない作品だと思いました。まだまだ沖縄のことは知らないこと(忘れていること)が多いと感じましたし、それを知らないことは良くないことなのかもしれません。思い切って観に行って良かったとつくづく感じる映画でした。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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