2025年10月25日(土)鑑賞 イオンシネマ名古屋茶屋(スクリーン5 J-7(J-6))
2025年10月24日(金)公開 / 上映時間:100分 / 製作:2025年(日本) / 配給:ギャガ
【監督】 中西健二
【キャスト】
 安藤琢磨:豆原一成 / 安藤文子:市毛良枝 / 安藤綾:酒井美紀 / 大石紗季:八木莉可子 /
 島田校長:市川笑三郎 / 森田純希:福田歩汰 / 清野蓮:藤田玲 / 角田均:星田英利 /
 安藤偉志:長塚京三
【あらすじ】
祖父の他界後、大学生の拓磨(豆原一成)は、夫に先立たれてひとり残された祖母・文子(市毛良枝)と同居することになった。ある日、拓磨は亡き祖父・偉志(長塚京三)の書斎で、大学の入学案内を見つける。それは偉志が遺した妻・文子へのサプライズだった。亡き夫の遺志を受け入れ、大学への進学を決意した文子は、若い頃の夢だった「学び」の日々を謳歌する。一方、祖母と同じ大学に通う拓磨は、自分の夢に自信が持てずに将来について悩んでいた。そんな2人はある時、富士山のことが好きだった偉志の手帳に不思議な数式を見つける。その数式が、2人にとって一歩を踏み出すきっかけとなっていく・・・
【感想】
今週の映画は何を観ようかと思っていた時に、いつも行っている映画館では上映されていない(フライヤーを置いていない)この映画を偶然に知って、ちょっと興味がわいたので35km以上離れている映画館に出かけて観てきました。

前日に公開した映画でしたが観客は私ひとり。21時からの最終上映とは言え、公開二日目の土曜日の夜にこの状況は寂しい感じです。

話としてはとても良い雰囲気の優しい物語でした。文子のきっちりとしている暮らしぶりや、文子と孫である拓磨との関係はとてもほっこりしていていい感じですし、文子と夫・偉志のお互いに思いやりを持って相手を尊重する優しさが感じられますし、その形が明らかになるラストの偉志が描いた絵手紙に感動して涙がこぼれました。夫婦としてこういう形で穏やかに過ごすことができれば幸せなんだろうなと感じさせてくれました。

しかし、そういう気持ちで観終わったあとに、いやちょっと待てよという気持ちがわいてきました。祖父が祖母の日々に感謝してその姿を美しいと感じて絵手紙に残すことは感動的でしたが、祖母に若い頃にできなかった勉強をしてほしいと思う気持ちとに矛盾を感じ、本当にそう思っているならば結婚50年のサプライズを待たずに早くそうするように促すことこそが優しさであり、絵手紙のために家事をおこなう妻の姿を美しいとかありがとうと思って眺めている場合ではないのではと思いました。そう思ってしまうと、この物語で伝えたいことはなんだったのかわからなくなってしまいました。

しかも、「亡くなった夫のサプライズで生涯学習カレッジに通うことになって、勉強したかった夢が叶い勉強の楽しさを謳歌する妻」、「将来に悩みコーヒーを煎れるのが好きなでカフェを開く夢を追う大学生」、「母との関係がこじれて確執を持つキャリアウーマンでシングルマザーの娘」、「インターンで忙しくなって恋人に会えなくなった女子大生」という、けっこう人生の中ではポイントとなる出来事が盛り込まれていて、それぞれがすべて表面的になっているので、よけいにそういう思いが募ってしまいます。この物語の原案が学校法人文京学院創設者・島田依史子の著書ということで女性の社会進出を描いているのかというとそうでもないので、全体のトーンが曖昧なものになってしまっています。

泣ける映画ということで遠くまで観に行って、祖父の残した絵手紙の内容に涙しましたが、それは本当は正しい感動の仕方なのだろうかと考えさせられる、ちょっと複雑な気持ちになってしまう映画でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。