2026年1月19日(月)開始 2026年1月21日(水)読了 (3日 3時間27分)
作品情報
タイトル ほどなく、お別れです
著者 長月天音
シリーズ
初刊出版社 小学館
レーベル
発売日 2018年12月13日
初刊発行日 2018年12月18日
書籍情報
出版社 小学館
レーベル 小学館文庫 な-38-1
判型/ページ数 文庫判/288ページ
発売日 2022年7月6日
初版発行日 2022年7月11日
版数 初版第11刷
発行日 2025年6月8日
定価(本体) 660円
購入日 2026年1月10日
【あらすじ】
大学生の清水美空は、東京スカイツリーの近くにある葬儀場「坂東会館」でアルバイトをしている。坂東会館には、僧侶の里見と組んで、訳ありの葬儀ばかり担当する漆原という男性スタッフがいた。漆原は、美空に里見と同様の“ある能力”があることに目を付け、自分の担当する葬儀を手伝うよう命じる。漆原は美空をはじめとするスタッフには毒舌だが、亡くなった人と、遺族の思いを繋ごうと心を尽くす葬祭ディレクターだった。

「決して希望のない仕事ではないのです。大切なご家族を失くし、大変な状況に置かれたご遺族が、初めに接するのが我々です。一緒になってそのお気持ちを受け止め、区切りとなる儀式を行って、一歩先へと進むお手伝いをする、やりがいのある仕事でもあるのです」・・・

詳細は下記の通り。
クリックして詳細を表示(ネタバレ注意!)
プロローグ
第一話 見送りの場所 不慮の転落事故で亡くなった妊婦の葬儀で起きた不思議な出来事とは・・・
第二話 降誕祭のプレゼント 幼くして病気で亡くなった娘と、その悲しみに明け暮れる母に起きた愛情あふれる出来事とは・・・
第三話 紫陽花の季節 最愛の夫を結婚してすぐに病気で夫を亡くし失意の中で亡くなった娘の秘密と思いとは・・・
エピローグ 美空の祖母と、美空が生まれる前に亡くなった姉・美鳥との秘密とは・・・
【感想】
2月6日公開の映画「ほどなく、お別れです」の原作小説です。絶対に観たいと楽しみにしている映画ですが、映画が先か小説が先かを迷いに迷って、先に小説を読むことにしました。この作品はシリーズ化されていて、現在4作発表されています。
  第1弾:「ほどなく、お別れです」
  第2弾:「ほどなく、お別れです それぞれの灯火」
  第3弾:「ほどなく、お別れです 思い出の箱」
  第4弾:「ほどなく、お別れです 遠くの空へ」
映画は、第1弾と第3弾のエピソードがもとになっているようです。

今回、奥さんと娘の通院に付き添ってクリニックの待合室で読んでいたのですが、途中で涙が出てきて鼻をすするという恥ずかしい状況になってしまいました。単なる葬儀ものではなくて、遺族が納得する葬儀をしてあげたいと思う漆原と、姉が亡くなっていることから霊感があって亡くなった人の思いを感じることのできる美空によって、残された人と逝ってしまった人の心を繋ぎ、納得してお別れができるように尽くす心打つ物語となっています。なぜその人が亡くなったのか、何が心残りとなっているのか、そんなことが明らかになっていくミステリー要素もあって、その意外性によってよけいに心が揺さぶられます。漆原のキャラクターも毒舌は優しさの照れ隠しにも感じますし、仲間と話す時と葬儀の時とのギャップも魅力的です。美空はそんな漆原を尊敬し頼りにしているので、ふたりの関係も素敵です。

第一話では亡くなった妻から残された夫へ、第二話では絶望の中の妻へ夫から、残された人が前を向いて生きていくための言葉が胸に刺さります。第三話では、何が幸せなのか、何がその人の望んでいることなのかを理解してあげることの大切さが身に沁みます。エピローグでは、不幸を乗り越える家族の優しさを感じます。

この作品を読むと、自分の死や身近な人の死に対して、どう備えておくべきかを考えさせられます。自分が両親の死に向かい合った時に、こんなに深く考えたり思い合ったりしただろうかと、自分の人間としての冷たさも感じてしまいます。誰にもいずれは死が訪れる。「ほどなく、お別れです」。その時は突然訪れるかもしれません。その時に納得して穏やかに逝くことができるか、送ることができるか、よくよく考えて生きていきたいと思いました。

この作品は号泣に近い涙腺崩壊の久々の作品でした。たぶん、映画でもしっかり泣きそうな予感がします。第2弾以降の作品も読んでみようと思います。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。