2025年10月6日(月)開始 2025年10月12日(日)読了
作品情報
タイトル さよならまでの三日間
著者 伴田音
シリーズ
初刊出版社 徳間書店
レーベル 徳間文庫
発売日 2025年8月8日
初刊発行日 2025年8月15日
書籍情報
出版社 徳間書店
レーベル 徳間文庫 は-47-1
判型/ページ数 文庫判/256ページ
発売日 2025年8月8日
初版発行日 2025年8月15日
版数 初刷
発行日 2025年8月15日
定価(本体) 710円
購入日 2025年8月19日
【あらすじ】
僕・安井旭はタクシーの運転手。休日をとって九州の実家にバイク帰省中で、客船フェリー「りょうよう号」に乗っていた。その船のデッキで高校の同級生・前川はるかと約十一年ぶりに再会する。僕とはるかは、高校で唯一気の合った友人で、性格も良く知っている仲だった。どうしてこのフェリーに乗っているのか尋ねるが、はるかは明確に答えない。はるかは僕に「昔好きだったドラマの探偵のように君の推理で当ててみて。九州の港に着くまでにつきとめられなかったら、旭とはもう二度と会わない。」とゲームを仕掛けてきた。僕は質問を投げかけながら、彼女が抱える秘密に徐々に迫っていく。そんなさなか、フェリーにエンジントラブルが発生。船は和歌山県沖で停泊することになり、ふたりは三日間船上で語り合うことになるのだが・・・
【感想】
結末はどうなるのか、とても興味を持って読み進めたくなる作品でした。

はるかのフェリーに乗って九州に向かっていた理由自体も興味深かったのですが、回想で語られる旭とはるかの高校生活や、船上ゲームで語り合う二人の会話によって、旭とはるかの関係性にとても魅力を感じてしまいました。お互いに好意を持ちながらも、相手の気持ちや境遇を察しながら適度な関係で過ごしてきたふたり。まわりの目に振り回されたりせず、誰かに寄り添っていくこともなく、ただ居心地の良いふたりでいることの強さも感じます。若い頃にそんな考え方から程遠かった自分の未熟さもよみがえってきて胸が苦しくなります。

旭は、推理力を駆使してはるかの会話の中からヒントを見つけ出して、九州に着く前に自分の推理をはるかに告げます。その推理ははるかがある犯罪に関与しているというもので事実に近いものでした。その後ははるかの犯罪の裁判の話になっていくのですが、そこでもはるかは自分の意思で罪と向かい合い罰を受け入れていきます。船上の三日間をすぎた後の物語が長いので、タイトルの「さよならまでの三日間」に疑問を感じながら読み進めましたが、最後に、その三日間の愛おしくも切ない真実が明らかになります。

なぜふたりは良好な関係であり、お互いに好意を持ちながらもそれを伝えることができなかったのか。それは、はるかには、両親がいないために幼い頃から人を信じることを諦めて自分が人を不幸にするという思い込みがあって好きな旭を不幸にしたくないという思いから告白を拒む距離感を置き、その距離感をむやみに破ろうとしなかった旭の優しさがあったということが最後に明確に示されます。

そして、11年を経て今回の出会いをきっかけに旭は自分の思いと向き合うことになり、そんなはるかをすべて受け入れる決心をして、ふたりの好意がやっとハッピーエンドの形で終わるという結末となるわけですが、あの船上の三日間がこの結末を導いたという形です。

大きな意外性を感じる推理や結末ではありませんでしたが、ほんわかと心が優しくあたたかくなるような物語でした。この物語も映画化されるとまた異なった感動を感じるような気がします。ぜひ映画化を期待したいと思います。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。