2026年1月28日(水)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン7 G-9)
2026年1月23日(金)公開 / 上映時間:97分 / 製作:2026年(日本) / 配給:ホリプロ
【監督】 塚本連平
【キャスト】
 朝井えりこ:鈴木愛理 / 月岡千花:川口真奈 / 月岡円香:伊藤歩 / 月岡裕人:山中崇 /
 同僚教師:六角慎司 / 同僚教師:吉田ウーロン太 / 京子先生:高山璃子 /
 ほなみ先生:桜まゆみ / 黒川辰徳:酒井敏也 / 進藤実:尾美としのり /
 朝井百合子:大塚寧々
【あらすじ】
大人なのに、学校へ行きたくない・・・。大人なのに、反抗期中・・・。親から自立できない“子供部屋おばさん”の中学教師・えりこ(鈴木愛理)。一方、勉強もできて友達もいて荒れてもいない、大人の仮面を被った“原因不明の不登校少女”・千花(川口真奈)。2人は、同じ学校の教師と生徒。だが、部屋から出られないのも、一緒だった。ある日、えりこが趣味のBL漫画をネット注文サイトに出品したところ、購入してくれた“チー”という少女と意気投合。それが、 千花であった。お互いのことを気づかない2人は、SNSのメッセージで感想を送り合い、いつしか本音で話せる親友になっていく。一緒に部屋から出るために、親や学校と向き合おうとするのだが、千花の”不登校の真相“と えりこの“消せない過去の傷”が 2 人の心を追い詰め、取り巻く世界が予期せぬ方向に動き出していく・・・
【感想】
イジメや不登校をテーマにしているような映画で気になっていたので観てきました。

結論から言うと、久しぶりの大当たりの映画でした。テーマや伝えたいことはストレートでわかりやすかったですし、鈴木愛理が、過去のイジメを引きずる教師役でトラウマに悩みながらも強さと脆さが同居するえりこを、とても素敵に演じていました。また、川口真奈も、本当の自分を見失い不登校になった千花の苦しい心情をよく表現していました。高畑充希に似た可愛い子です。

冒頭にイジメシーンから始まり、その後千花の不登校が描き出され、千花の両親が学校に詰め寄ることから、千花がてっきりイジメにあって不登校になってしまったとミスリードされます。そこで私はもう自分が同じように娘のイジメで学校に行った時の嫌なシーンと重なって、学校側の紋切り型の対応に反感を感じてしまいます。

しかし、そこからえりことえりこの母親・百合子の楽しそうで面白い会話で、重い雰囲気が吹き飛びます。思わず笑いそうになるシーンが続きます。テーマが重いテーマなので、映画の雰囲気も重苦しくて辛い感じなのかなと思っていたのですが、このえりこと百合子の親子関係と、コミックを通じてSNSで友人となったエリーヌ(=えりこ)とチー(=千花)の関係で、まるでコメディ映画のような雰囲気で前半は流れます。

しかし後半になって、子どもの頃にイジメにあっていたのがえりこで、その傷をまだ癒せなくて部屋から出ることができない大人になっていたことや、千花が不登校になった本当の原因がわかってくることで、今度は涙の連続となってしまいます。面白おかしいえりこと百合子の関係も、この親子関係がえりこを救ったのだなとわかってくると、それまでの笑いが感動と自分の後悔の涙に変わっていくのです。また、千花と両親の関係は自分に似ています。いや自分の方が感情を爆発させていたので似ているというよりも酷かったです。娘がイジメで不登校になっていた時の自分の言動や行動が千花の両親と重なり、もっと信じてやっていればとか、もっと話を聞いてやっていればとか、取り返しのつかない後悔が私に襲いかかってきました。こうしてこれを書くために思い出すだけでも目が涙でぼやけてきます。私は、”ただいまって言える場所”を作るのではなく、逃げ場のない場所に追いつめていたように思います。

実際に似たようなことを経験していたものが観ても嘘っぽくなくて、むしろ、イジメられた側、不登校になる側の気持ちに寄り添って作られた感じがしました。登場人物が放つ言葉も、うわべだけの美しく形式的な言葉ではなく、苦しみや悩みの中から発せられた胸打つ言葉が多かったです。正解はないしケースごとに事情は複雑で異なるので、いつでも良い方向に変えることができる言葉かどうかはわかりませんが、少なくともリアリティのある言葉であったと思います。

部屋に閉じこもってばかりの喩えとして「井の中の蛙」という言葉が出てきました。実はそれは悪い言葉ではないんだという百合子の話、そして国語の授業で繰り返されていた小説「山椒魚」。このあたりは私は知識がないのですが、何やら閉じこもりに関しての考え方の大きなヒントがありそうな感じがしましたので、自分なりにまた調べたり読んだりしてみようと思いました。

何を書いても自分の文章力では十分の一も良さを記録できないのですが、とても良い映画でした。なお、この映画のパンフレットは販売されていないとのことで残念でした。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。