| 2025年11月27日(木)開始 2025年12月1日(月)読了 |
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作品情報
| タイトル |
美しすぎた薔薇 |
| 著者 |
くわがきあゆ |
| シリーズ |
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| 初刊出版社 |
産業編集センター |
| レーベル |
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| 発売日 |
2022年5月23日 |
| 初刊発行日 |
2022年5月23日 |
当初のタイトルは「初めて会う人」 |
書籍情報
| 出版社 |
新潮社 |
| レーベル |
新潮文庫 く-56-1 |
| 判型/ページ数 |
文庫判/368ページ |
| 発売日 |
2025年7月29日 |
| 初版発行日 |
2025年8月1日 |
| 版数 |
第1刷 |
| 発行日 |
2025年8月1日 |
| 定価(本体) |
750円 |
| 購入日 |
2025年8月19日 |
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【あらすじ】
竜守令祥(たつもりれいしょう)は、転職先で教育係となる工藤三鷹(くどうみたか)との衝撃の出会いを果たす。その容姿、能力、所持品までもが憧れであり、全てを真似る日々が始まる。だが、その「執着」は殺人への幕開けだった。ストーカー被害の顛末と考えられるなか、やがて、被疑者となった男に関わる不可解な事実が次々と浮かび上がる・・・
詳細は下記の通り。
クリックして詳細を表示(ネタバレ注意!)
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序 |
巡査・静川涼吾は初めての取り調べに立ち会っている。取り調べるのは先輩の巡査部長・梨野康宏、取り調べ対象は殺人の容疑者・・・ |
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第一章 |
竜守令祥は、転職先の教育係である工藤三鷹と出会った瞬間から、工藤のすべてが憧れとなった。工藤のすべてを真似ていく中で、婚約者の美有に対する興味も失せていき別れを切り出すが、そこに感情の欠片はなかった。竜守はやがて、外観も名前までも工藤そのものになろうとし、住むところも工藤と同じマンションの隣室に引っ越す。引っ越しの時に工藤の部屋を訪れた竜守はそこで工藤に・・・
梨野が取り調べていたのは、工藤三鷹。涼吾の妻・花音と母・恵子の折り合いが良くなかった。涼吾は妻の花音の誕生日プレゼントにルビーのリングを買い、それとは別にバラの花を九輪を買った・・・ |
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第二章 |
鏡原理央は役員秘書をしており、まわりが受けて盛り上がるためには、人を傷つけることなど何も思わない、むしろそれがコミュニケーションに長けていると思っている。理央は、理央に好意を持つ工藤三鷹をからかいの相手として付き合っていた。ある日、理央は商談相手との話を盛り上げるために、別の役員の秘書であり小学校同級生・酒井麗の秘密を話してしまう。他にも自分の言動でいろんな人を傷つけていたがそのことに気が付いていない。そのせいで訴訟などのトラブルが起き、理央は気分転換のため髪を切った。そこから理央に夢中だった工藤の態度が一変する。数日後、市内で若い女性の遺体が発見される。それは理央の小学校の同級生であり、工藤に好意を持っていた元木春菜だった・・・
工藤三鷹は、竜守と元木の殺害容疑もかけられている。工藤は取り調べで雑談にも応じず口を噤んでいる。涼吾は退勤後、また宝飾店でアクセサリーを買う。この直後、梨野から連絡があり、工藤の周辺で他にも事故死や行方不明になっていることを知る。涼吾は行方不明になっている工藤の両親を調べるために工藤の実家を訪れる・・・ |
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第三章 |
工藤友治は長年勤めた商社を55歳で早期退職をした。妻の久美子と穏やかな老後を楽しみたいと思っていたが、退職後、久美子は家事もせずに刺繍教室や友人との旅行に明け暮れる日々を送っていた。そんな実家に帰省した息子・三鷹はそんな母にも優しかったが、友治は自分の両親の法事にも行かなくなった久美子と離婚を真剣に考え始めていた。法要から家に戻った友治はそこに三鷹がいることに気づく・・・
涼吾は、目撃証言のあった地方のスーパーである女性と出会う・・・ |
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第四章 |
三鷹の取り調べ中に、三鷹は梨野に怒りを覚え、梨野の首筋を噛みちぎった。三鷹は梨野への行動、過去の殺人に至った理由を頭で巡らす。そして、涼吾が地方のスーパーで出会った三鷹の母・久美子が話した内容が明かされる・・・ |
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跋 |
涼吾の本性が語られる・・・ |
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【感想】
くわがきあゆの第2作目となる作品です。最初のタイトルは「初めて会う人」というタイトルだったそうですが、読んでみると確かにと思わせてくれるタイトルです。「初めて会う人」も「美しすぎる薔薇」も母親をあらわしていますが、思い方によっては棘があるという意味では、「美しすぎる薔薇」のほうが奥に闇がある感じがしてしっくりくるような気がします。
くわがきあゆの作品は、読み始めると次を知りたいという気持ちが高まり、一気に読んでしまいたくなる魅力があります。また、登場人物の偏執的な思いや感情が気になって、どうなっていくのかという興味が次々にわいてきます。この作品でもおかしな人間がたくさん登場します。第一章での「憧れの人にすべて真似をしてそのひとになり切りたいと思う竜守令祥」、第二章での「場を盛り上げるためには人を貶めることが普通であり重要なことと思い込んでいる鏡原理央」、第三章での「突然家事を放り出して外観も内面も大きく変わってしまった工藤久美子」、第四章での「母親に異常な愛情を持ち、母親を侮辱するものへの異常な敵対意識を持つ工藤三鷹」、そして「跋」で明かされる工藤と同類の静川涼吾の本性。みんな、まわりの人への配慮や自制などありません。ある意味、気持ちが良いくらいに欲望に真っ正直な人物像です。もちろん、人に迷惑をかけたり犯罪を犯すのは認められませんが、人間の欲望とはそんなものかもしれないと思ってしまいます。そして、まさか最後に「おまえもか!」と思わせてくれる涼吾には驚きとともにくわがきあゆならではの納得感がありました。一筋縄では終わらない面白さとまとめ方です。
この作品は、犯人を推理したり追ったりするものではなくて、その動機や心理を明かしていく作品です。種明かし的な表現も含まれていて、おかしな表現だなぁと思ったところが、読み終わるとそういうことだったのかと腑に落ちるところがいくつかあります。とても面白くて楽しめる作品でした。 |
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。 |
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