2013年9月30日(月)読了
【著者】
タイトル 永遠の0
著者 百田尚樹
シリーズ
初刊出版社 太田出版
レーベル
初刊発行日 2006年8月28日
【発行年月日】
出版社 太田出版
レーベル
判型/ページ数 四六判/448ページ
初版発行日 2006年8月28日
版数 初版 第21刷
発行日 2013年8月23日
定価(本体) 1,600円
購入日
「永遠の0」は、2年前に友人から「きっと感動するから」と薦められていた作品でした。文庫本で575ページ、ハードカバーで445ページという長編ですが、読み始めると一気に昨日今日で読み終えてしまったくらい、ぐいぐいとひきこまれる作品でした。

佐伯健太郎は、太平洋戦争で戦死した宮部久蔵という実の祖父がいたことを知り、その祖父がどういう人物だったのかを知るために、祖父の戦友9人の証言を聞いていくというストーリーですが、佐伯健太郎はその過程で、宮部が戦争で家族のことをどう思いどう死んでいったのか、なぜ若者が次々と死んでいく悲劇を食い止められなかったのか、自分の命や家族に対する思いはどういうものだったのか、戦争というものはいかに理不尽なことだったのか、そういうことを知っていくことになります。私自身も、戦争の生に近い証言や事実をほとんど理解していないということを思い知らされました。生死を分ける厳しい環境の中で、家族や戦友に対する優しさや切なさが伝わってくる場面では、自然と涙もあふれてきました。二度とあのような悲劇を繰り返さないためにも、戦争とは何か、本当の人間らしさや強さとは何か、ということを、平和な今こそきちんと考えておかなければいけないと思います。

私の父は今年88歳で、この作品にも登場する空母「瑞鶴」の通信員として戦争を体験しています。私が学生の頃は、「なぜ自ら志願して戦争なんかに行ったのか?」「戦争なんか拒否するのが正義だったのでは?」なんてことを言ってよく非難したりしていましたが、この本を読んで、そんな考えがいかに上っ面だけの考えかということをあらためて痛感させられました。この本を読んでいる途中から、父が戦争で体験したこと、その時どういう思いだったかなど、すぐにでも聞いておきたい、聞いておかないといけないという衝動にかられてしまいました。次に帰省したときには、素直に当時の話を聞いてみようと思います。

それにしても、日本軍の「兵の人命を軽く考える」、「高級仕官の責任は何も問わない」、「出世は実力よりもキャリア」などは、今のどこかの組織にもあてはまるような気がして、非常に腹立たしさや無力感を感じてしまいます。何が一番大切なのか、何が一番の目的なのかが間違っていては、どうしようもありません。

なお、この作品中、零戦の性能の素晴らしさが随所に語られています。設計者である堀越二郎(「風立ちぬ」のモデルですね)と曾根嘉年の名前も出てきます。しかし、宮部久蔵がこういうことを言っています。

「八時間も飛べる飛行機は素晴らしいものだと思う。しかしそこにはそれを操る搭乗員のことが考えられていない。八時間もの間、搭乗員は一時も油断できない。いつ敵が襲いかかってくるかわからない戦場で八時間の飛行は体力の限界を超えている。八時間も飛べる飛行機を作った人は、この飛行機に人間が乗ることを想定していたんだろうか」

技術者として道具の技術を追うことはとても大事だけれど、それを使う人間のことを忘れないようにしたいものです。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。